製剤の各種条件下における安定性を下表の通り示します(引用1)。
本剤を5%ブドウ糖注射液及び生理食塩液に希釈した液は室内散光下で27時間安定でした(引用1)。
<引用>
糖類、電解質、アミノ酸及び高カロリー輸液の17品目の輸液について、室温散光下24時間保存での本剤の安定性を調べた結果、いずれも含量の低下はみられませんでした(引用1)。
また、外観変化はすべての例で、配合直後から本剤に由来するわずかなかすみ(ヘイズ)を呈しましたが、経時的変化は認められませんでした(引用1)。
<引用>
添付文書上、重要な基本的注意に「本剤は無水エタノールを含有するため、前投薬で投与されるジフェンヒドラミン塩酸塩錠とアルコールの相互作用による中枢神経抑制作用の増強の可能性があるので,本剤投与後の患者の経過を観察し,アルコール等の影響が疑われる場合には,自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。」と記載されています(引用1)。
添付文書に準じた対応をお願いいたします。
<引用>
添付文書では、「本剤投与時には,0.22ミクロン以下のメンブランフィルターを用いたインラインフィルターを通して投与すること。」と規定されていますので、添付文書とおりのご使用をお願いいたします(引用1)。
〈用法・用量に関連する使用上の注意〉
1. 投与時
(2) 本剤の希釈液は,過飽和状態にあるためパクリタキセルが結晶として析出する可能性があるので,本剤投与時には,0.22ミクロン以下のメンブランフィルターを用いたインラインフィルターを通して投与すること。
<引用>
パクリタキセルの希釈液は飽和濃度以上溶けており(過飽和)、結晶が析出すること可能性があり、万が一結晶が析出した場合に体内に入らないようにするためにフィルターが必要です(引用1)。
本剤を5%ブドウ糖注射液及び生理食塩液に希釈した液は室内散光下で27時間まで安定であったことが確認されていますが(引用2)、ポンプの物理的刺激により析出するパクリタキセルの結晶がろ過網を詰まらせるとの報告もあります(引用1)。
〈用法・用量に関連する使用上の注意〉
(1) 投与時
2)本剤の希釈液は,過飽和状態にあるためパクリタキセルが結晶として析出する可能性があるので,本剤投与時には,0.22ミクロン以下のメンブランフィルターを用いたインラインフィルターを通して投与すること。
4) 輸液ポンプを使用して本剤を投与する場合は,チューブ内にろ過網(面積の小さなフィルター)が組み込まれた輸液セットを使用すると,まれにポンプの物理的刺激により析出するパクリタキセルの結晶がろ過網を詰まらせ,ポンプの停止が起こることがあるので,ろ過網が組み込まれた輸液セットは使用しないこと。
<引用>
添付文書上、経中心静脈高カロリー輸液(IVH)のルートもしくは皮下埋込型中心静脈ポート(CVポート)からの投与を制限する規定はございません。末梢からの投与と同様に以下、用法・用量に関連する使用上の注意を遵守の上投与をお願いいたします(引用1)。
〈用法・用量に関連する使用上の注意〉
(1)投与時
2)本剤の希釈液は,過飽和状態にあるためパクリタキセルが結晶として析出する可能性があるので,本剤投与時には,0.22ミクロン以下のメンブランフィルターを用いたインラインフィルターを通して投与すること。
3)点滴用セット等で本剤の溶解液が接触する部分に,可塑剤としてDEHP〔di-(2-ethylhexyl)phthalate:フタル酸ジ-(2-エチルヘキシル)〕を含有しているものの使用を避けること。
<引用>
添付文書上、腎障害患者への投与に関して、以下の記載で注意喚起しており、腎障害患者は慎重投与に該当します(引用1)。
投与に際しては、患者の状態を十分に観察し、リスクとベネフィットを十分に考慮した上で、医師の判断でお願いします。
【慎重投与】
腎障害のある患者[腎機能が低下しているので,副作用が強くあらわれるおそれがある。]
<参考>
各種悪性腫瘍患者に本剤105~270mg/m2を3時間かけて点滴静注したときの未変化体の尿中排泄率は、投与後75時間までで6~12%でした(引用2)。
<引用>
添付文書上、腎障害患者への投与に関して、以下の記載で注意喚起しており、腎障害患者は慎重投与に該当します(引用1)。
透析の除去率に関するデータはありません。
投与に際しては、患者の状態を十分に観察し、リスクとベネフィットを十分に考慮した上で、医師の判断でお願いします。
【慎重投与】
腎障害のある患者[腎機能が低下しているので,副作用が強くあらわれるおそれがある。]
<参考>
各種悪性腫瘍患者に本剤105~270mg/m2を3時間かけて点滴静注したときの未変化体の尿中排泄率は、投与後75時間までで6~12%でした(引用2)。
<引用>
添付文書上、肝障害患者への投与に関して、以下の記載で注意喚起しており、肝障害患者は慎重投与に該当します(引用1)。
投与に際しては、患者の状態を十分に観察し、リスクとベネフィットを十分に考慮した上で、医師の判断でお願いします。
【慎重投与】
肝障害のある患者[代謝機能等が低下しているので、副作用が強くあらわれるおそれがある。]
<参考>
代謝(ラット、イヌ):パクリタキセルは肝臓で代謝され、代謝反応として水酸化、脱アセチル化、エピ化及び加水分解が確認または推定されました。ラット胆汁中には、未変化体と共に4種の主代謝物がそれぞれ約10%程度検出されたほか、7種の代謝物の存在が確認され、その他多数の微量の代謝物の存在が示唆されました。血中及び尿中には未変化体のほか、微量の複数の代謝物の存在が確認されました。なお、パクリタキセル及び代謝物の抱合体は検出されませんでした(引用2)。
排泄:胆汁から排泄されます。
各種悪性腫瘍患者に本剤105〜270mg/m2 を3時間かけて点滴静注したときの未変化体の尿中の排泄率は、投与後75時間までで6〜12%でした。
<引用>
添付文書上、妊婦又は妊娠している可能性のある女性への投与は禁忌に該当します。
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊をするよう指導して下さい。
[動物実験(ラット,ウサギ)において催奇形作用,胚・胎児死亡が報告されています。](引用1)
<参考>
・避妊期間について 男性における化学療法終了後の精子損傷や染色体構造異常がみられなくなるまでの期間に関して統一した見解は得られておらず、複数の文献報告において化学療法終了後の避妊が推奨されていますが、その期間は、精子形成の1サイクルに該当する3ヵ月以上とす るものから数サイクルに相当する1年以上とするものまであり、CCDSでは本剤投与中及び投与終了から精子形成2サイクルに該当する6ヵ月以上の避妊を推奨しています。一方、女性においては、卵母細胞が完全に成熟して妊娠可能となるまで6ヵ月間を要するといわれており、男性同様に、CCDSにおいて本剤投与終了から6ヵ月以上の避妊を推奨しています(引用2)。
・生殖発生毒性試験
パクリタキセルを最高1.0mg/kg/日までの用量でラットの交配前、妊娠期間中及び授乳期間中の各期間に静脈内投与した3種の生殖・発生毒性試験及びウサギ胎児の器官形成期投与試験方法を下表に示します(引用2)。
1)交配前及び妊娠初期投与
ラット交配前及び妊娠初期の投与では、1.0mg/kg/日で生殖能に影響があり、胚の死亡率が上昇しました(引用2)。
2)器官形成期投与
ラット器官形成期投与では、0.6mg/kg/日で胎児(F1)の右腰肋骨の発現率が上昇し、出生児(F1)の毛生が遅延しましたが、それ以外の指標には影響しませんでした。
しかしながら、器官形成期に2.0mg/kgを単回投与することにより、胎児(F1)に外表奇形(外脳、口唇裂、無・小顎、外部生殖器異常など)、内臓奇形(無・小眼、脳室拡張など)及び骨格奇形(頸椎癒合・欠損・配列異常、過剰胸椎弓など)が誘発されました。
ウサギ器官形成期投与では、3.0mg/kg/日で母動物及び胎児(F1)に著しい毒性(母動物死亡、胚・胎児死亡)がみられましたが、1.0mg/kg/日以下では影響はありませんでした(引用2)。
3)周産期及び授乳期投与
ラット周産期及び授乳期の投与では、1.0mg/kg/日で母動物には影響がなく、出生児(F1)の身体的発育・分化及び一部の行動発達が遅延したが、それ以外の指標には変化がみられませんでした。生殖及び発生に関する指標から判断して、パクリタキセルのラットに対する無影響量は親動物(F0)に対して0.3~1.0mg/kg/日、次世代(F1)に対しては0.3mg/kg/日と推定されました。また、ウサギでは母動物(F0)及び次世代(F1)に対して1.0mg/kg/日と推定されました(引用2)。
<引用>
添付文書上、授乳婦への投与に関して、以下の記載で注意喚起しております。
授乳中の女性には,授乳を中止させること。
[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。]
(引用1)
<参考>
避妊期間について男性における化学療法終了後の精子損傷や染色体構造異常がみられなくなるまでの期間に関して統一した見解は得られておらず、複数の文献報告において化学療法終了後の避妊が推奨されていますが、その期間は、精子形成の1サイクルに該当する3ヵ月以上とするものから数サイクルに相当する1年以上とするものまであり、CCDSでは本剤投与中及び投与終了から精子形成2サイクルに該当する6ヵ月以上の避妊を推奨しています。一方、女性においては、卵母細胞が完全に成熟して妊娠可能となるまで6ヵ月間を要するといわれており、男性同様に、CCDSにおいて本剤投与終了から6ヵ月以上の避妊を推奨しています(引用2)。
分布(ラット)
雌雄ラットに14C標識パクリタキセルを10mg/kg単回静脈内投与したとき、パクリタキセルは投与後速やかに臓器・組織に移行し、肝臓、消化管、胸腺、腎臓、唾液腺、膵臓、肺、脾臓に高濃度の放射能が認められました。投与120時間後においても胸腺では比較的高濃度の放射能が検出されましたが、この時点での放射能の体内残存率は1%未満でした。ラット胎児への移行は低い値でした。ラットの乳汁への移行は高く、乳汁中濃度は血漿中濃度を上回りました(引用2)。
<引用>