マキシピームの各条件下における安定性は、以下の通りです(引用1)。
表1:マキシピームの各条件下における安定性
表2:マキシピーム溶解後の安定性
<引用>
個装(紙箱包装)により遮光状態で出荷しており、遮光瓶にしておりません。個装(紙箱)に入れた状態で保管をお願いします。
●マキシピームの安定性(引用1)
製剤の光に対する安定性は、室温及び室内散乱光(約600lx) で総照度65万lx・hまで、10℃及び人工気象装置(約20,000lx)で総照度1,344万lx・hまで検討しています。いずれも規格には適合していましたが、使用期限を考慮し、遮光保存としています。
●個装(紙箱)から出し、バイアル状態での安定性(引用1)
室内散光(600lx) における総照度65万lx・h*までの試験結果は『外観及び溶液の色に黄色味の増加、N-メチルピロリジン含量及びその他類縁物質含量の増加が認められた以外は著明な変化なし』でした。
*総照度65万lx・hとは、室内散光を一日に9時間当てた場合、6カ月に相当。
<引用>
インタビューフォームに他剤との配合変化について、以下の記載をしております(引用1)。
7.他剤との配合変化
(物理化学的変化)
(1)配合方法
1)注射用マキシピーム1g を注射用水10m L 又は20mL に溶解し、これを各種輸液1ボトル又は1バッグ容量に混合した。
2)高カロリー輸液については市販基本液に高張アミノ酸輸液を混合して調整した製剤について同様な実験を行った。
3)2剤配合試験では、各注射剤1アンプル、1バイアル容量に注射用マキシピーム1g(力価)/バイアルを20mL の注射用水で溶解したものを混合した。また、本試験で混合直後より、混濁、沈澱のみられた品目については、生理食塩液500mL 中での配合変化も調べた。
(2)判定方法
上記のように調製した液を透明ガラス製共栓試験管に入れ室内散光下25℃で混合直後、1、3、6及び24 時間後に外観及びpH を測定した。セフェピムの含量(残存率)は混合直後、6及び24 時間後に測定した。
注射用マキシピーム0.5g及び1gは1/10N HClを各々10mL及び7mL添加した時、酸性側でわずかな混濁がみられた。このわずかな混濁は500mLの注射用水での希釈試験で0.5g(力価)の場合は澄明に溶解したが、1g(力価)の場合は、わずかな混濁は持続し、澄明にはならなかった。又、アルカリ側においては変化はないものと推定された。
・配合変化表
検 体:注射用マキシピーム0.5g、1g
観察項目:外観、pH、マキシピーム残存率
観察期間:配合直後、1、3、6、24 時間後
変 化:-:配合後24 時間で外観・残存率変化を認めなかった。
n:配合後n時間で外観変化を認めた。
+:配合直後から1時間以内に外観変化を認めた。
なお、添付文書上、下記の記載もございます(引用2)。
【使用上の注意】
10.適用上の注意
(4)配合変化:メシル酸ガベキサート製剤と配合すると、配合直後に沈殿が起こることがあるので、配合を避けること。
<引用>
溶解後の安定性試験において、室内散光(25~27℃)で24時間後でも90%以上の力価が保たれていました(引用1)。
その結果を踏まえ、点滴中のボトル及びラインの遮光は必要はないと考えます。
<マキシピームの用法及び用量>(引用2)
本剤の使用に際しては,投与開始後3日をめやすとしてさらに継続投与が必要か判定し,投与中止又はより適切な他剤に切り替えるべきか検討を行うこと。さらに,本剤の投与期間は,原則として14日以内とすること。
(1)一般感染症
通常成人には,症状により1日1〜2g(力価)を2回に分割し,静脈内注射又は点滴静注する。なお,難治性又は重症感染症には,症状に応じて1日量を4g(力価)まで増量し分割投与する。
(2)発熱性好中球減少症
通常成人には,1日4g(力価)を2回に分割し,静脈内注射又は点滴静注する。
静脈内注射の場合は,日局注射用水,日局生理食塩液又は日局ブドウ糖注射液に溶解し,緩徐に注射する。
また,点滴静注の場合は,糖液,電解質液又はアミノ酸製剤などの補液に加えて30分〜1時間かけて点滴静注する。
<引用>
溶解液量は規定されていません。
水分量を減らしたい場合、点滴静注に加え、静注も承認されています。静注の場合は20mLの生食(等)に溶解し、3-5分かけて緩徐に静注してください。
【インタビューフォームの記載内容(引用1)】
静脈内注射の場合は注射用マキシピーム0.5g及び1gを通常20mLの日局注射用水、日局生理食塩液又は日局5%ブドウ糖注射液に溶解する。
点滴静注の場合は射用マキシピーム0.5g及び1gを通常100mL以上の糖液、電解質液またはアミノ酸製剤などの補液に加えて溶解する。
点滴静注を行う場合、注射用水を用いると溶液が等張とならないので使用しないこと。
<引用>
マキシピームの用法及び用量は、静脈内投与か点滴静注です。筋注はできません。
<マキシピームの用法及び用量>(引用1)
本剤の使用に際しては,投与開始後3日をめやすとしてさらに継続投与が必要か判定し,投与中止又はより適切な他剤に切り替えるべきか検討を行うこと。さらに,本剤の投与期間は,原則として14日以内とすること。
(1)一般感染症 通常成人には,症状により1日1〜2g(力価)を2回に分割し,静脈内注射又は点滴静注する。なお,難治性又は重症感染症には,症状に応じて1日量を4g(力価)まで増量し分割投与する。
(2)発熱性好中球減少症 通常成人には,1日4g(力価)を2回に分割し,静脈内注射又は点滴静注する。
静脈内注射の場合は,日局注射用水,日局生理食塩液又は日局ブドウ糖注射液に溶解し,緩徐に注射する。
また,点滴静注の場合は,糖液,電解質液又はアミノ酸製剤などの補液に加えて30分〜1時間かけて点滴静注する。
<引用>
マキシピームの用法及び用量は、静脈内投与か点滴静注です。皮下注射はできません。
<マキシピームの用法及び用量>(引用1)
本剤の使用に際しては,投与開始後3日をめやすとしてさらに継続投与が必要か判定し,投与中止又はより適切な他剤に切り替えるべきか検討を行うこと。さらに,本剤の投与期間は,原則として14日以内とすること。
(1)一般感染症 通常成人には,症状により1日1〜2g(力価)を2回に分割し,静脈内注射又は点滴静注する。なお,難治性又は重症感染症には,症状に応じて1日量を4g(力価)まで増量し分割投与する。
(2)発熱性好中球減少症 通常成人には,1日4g(力価)を2回に分割し,静脈内注射又は点滴静注する。
静脈内注射の場合は,日局注射用水,日局生理食塩液又は日局ブドウ糖注射液に溶解し,緩徐に注射する。
また,点滴静注の場合は,糖液,電解質液又はアミノ酸製剤などの補液に加えて30分〜1時間かけて点滴静注する。
<引用>
添付文書(引用1)及びインタビューフォーム(引用2)において、マキシピーム投与時のフィルターの使用に関して、規定はございません。
<引用>
添付文書上、腎機能障害患者への投与に関して、投与量を減ずるか、投与間隔をあけるなど慎重に投与することと注意喚起しております(引用1)。
〔腎機能障害患者の静脈内投与法の一例〕
<用法・用量に関連する使用上の注意>
(2)腎障害患者
腎障害のある患者には、投与量を減ずるか、投与間隔をあけるなど慎重に投与すること。(「慎重投与」及び【薬物動態】の項参照)
【使用上の注意】
1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(3)高度の腎障害のある患者[血中濃度が持続するので、投与量を減ずるか、投与間隔をあけて投与すること。]
【薬物動態】
5. 腎機能障害時の血清中濃度及び尿中排泄(引用1)
腎機能の低下に伴い、尿中への排泄が遅延し、血清中濃度の上昇、半減期の延長が認められている。
[腎機能障害時の血清中濃度及び尿中排泄](引用2)
<引用>
添付文書上、肝機能障害患者への投与に関して、以下の記載で注意喚起しております(引用1)。
【使用上の注意】
1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(4)高度の肝障害のある患者[肝障害を増強させるおそれがある。]
<引用>
添付文書上、妊婦、授乳婦患者への投与に関して、以下の記載で注意喚起しております(引用1)。
【使用上の注意】
6. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与
(1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
(2)本剤投与中は授乳を避けさせること。[ヒト母乳中へ移行することがある。]
<参考>
生殖発生毒性試験(引用2)
ラットの交配前、妊娠期及び授乳期間中の各期間に最高1,000mg/kg/日(150mg~1,000mg/kg/日)を皮下投与したとき、親動物の生殖能や次世代の生後発育に及ぼす影響はみられなかった。また胎児器官形成期投与(250~1,000mg/kg/日、皮下投与)においても胎児及び出生児に形態学的な異常も観察されなかった。
ウサギの器官形成期に最高100mg/kg/日を静脈内投与したときの胎児にも形態学的変化は認められなかった。
生殖及び発生に関する指標から判断して、無影響量はラットの親動物に対しては1,000mg/kg/日、次世代に対しては500~1,000mg/kg/日、ウサギでは母動物に対して50mg/kg/日、次世代に対しては100mg/kg/日と推定された。
<引用>
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確
立しておりません(使用経験がない) (引用1) 。
<引用>
過量投与により、意識障害、痙攣等の精神神経症状を起こすことがあります。特に腎機能障害患者ではこのような症状があらわれやすくなります。なお、本剤は血液透析により体内から除去されますが、腹膜透析は有効ではありません(引用1)。
<引用>
添付文書の重大な副作用において、注意喚起を行っております(引用1)。
重大な副作用
8)精神神経症状(0.1%未満):意識障害,昏睡,痙攣,振戦,ミオクローヌス等の精神神経症状があらわれることがある。特に腎機能障害患者で減量を行わなかった場合にあらわれやすい。
●発現率
承認時までと使用成績調査の累計14,590例中、意識喪失が1例 (0.01 %)報告されています(引用2)。
●発現機序
本剤による中枢神経系副作用の発現機序については明確ではありません。
●発現しやすい患者背景
腎機能障害患者で減量を行わなかった場合にあらわれやすいと添付文書にて注意喚起しております(引用1)。
●対処法
本剤による痙攣、意識障害などの中枢神経系障害に対する確立された対処法はござません。個々の患者の状態により、ご判断いただきます様お願いいたします。
<引用>